「塩のたとえ話」からの引用
「汝らは地の塩なり」
「塩もし効力を失わば、何をもてか之に塩すべき」
村上春樹の『風の歌を聴け』の登場人物で、ビール好きの鼠が、ある日突然、本をたくさん読むようになります。
31章で、酔っ払って聖書の一説を上記のように突然話しだします。これは、そのフレーズです。
ところで、聖書や説教のたとえには、当時の人々の生活のなかに親しみのある話が多いそうです。
この「塩」を使ったたとえ話も人々の生活に密着したわかりやすいたとえ話のひとつだそうです。
そして、この「塩」に関する引用を、メソジスト派のお話で多く使われるようです。
メソジスト派の流れを汲む青山学院では、スクールモットーが「地の塩、世の光」で、また
新入生を歓迎する礼拝でも、この「塩」のたとえ話をよくするようです。
塩に塩気がなくなってしまったら、どうやってこれに塩味をつけようか
塩に塩気がなくなってしまうというと、これは大変なことで、そんなことはないのでしょう。
また、塩は当時重要な役目を果たし、貴重品であったようです。
その大事な「塩」にたとえて、私たちは、一人ひとり地の塩であり、
塩はどんな場所でもその効力があって、その塩に塩気がなくならないように、
あなたたちのそうでありつづけましょう、そしてその効力を人々に伝えていきましょう、
と「塩」のたとえ話がなされます。
この派を築いたジョン・ウィスレーはこの「塩」のたとえ話が好きだったのでしょうか。
鼠が、この「塩」のたとえ話によく使われる、フレーズをいきなり語りだすところが、滑稽ですね。
「塩もし効力失わば、」この言い回しもなんとも言えず、面白いですね。
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